どちらかが彼女を殺した / 東野圭吾
この作品は最後まで犯人が明かされない。
ということで、自分の推理を書こうと思う。
以下、ネタバレ。
まだ読んでない方は、感想を参考にしていただければと思う。
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ポイントは康正には犯人が分かった(P.347)という点。
康正に犯人が分かった時点では3通りの可能性がある。
1.園子が自殺した
2.佳代子が殺した
3.佃が殺した
犯人が分かった康正は、加賀に「薔薇の絵が書いてあるゴミ箱」の中に入っている物を取るように指示している。(P.348)
では、「薔薇の絵が書いてあるゴミ箱」の中には何が入っているのだろうか。
最初に康正が園子の遺体を見つけた時点では、何も入っていなかった。(P.52) その後も特にゴミ箱についての描写はない。
しかし、P.290で佳代子が睡眠薬の袋を自分で破き、「薔薇の絵が書いてあるゴミ箱」に捨てている。
つまり、「薔薇の絵が書いてあるゴミ箱」には佳代子が捨てた「睡眠薬の袋」が入っており、その「睡眠薬の袋」が犯人を特定する上でのキーポイントとなる。
事件現場には2つの睡眠薬の空き袋があった。
1つは佃が空けたと供述している。(P.308)
しかし、2つ目に関しては佳代子、佃はともに開封したことを否認し、園子が自ら飲んだということを主張している。
したがって、園子が空けたという事実を否定することができれば園子の自殺が否定され、2つ目の袋を空けた人物によって殺されたということになる。
ここで、着目するポイントは「利き手」である。
園子の利き手は左手、包丁をコードで削る行為から佃は右手、佳代子は不明。
1袋目は佃が空けたので、右利きの破き方の痕跡が残っている。
では2袋目は?
園子が自殺したのではないとすると、2袋目も右利きの人物が空けた痕跡が残っていたのである。ここで、佳代子が右利きであれば犯人をどちらか絞ることができない。しかし、佳代子が睡眠薬を破いたことを目撃した康正(P.348)は、犯人が分かった。佳代子は左利きだったのだ。
したがって、佃が犯人である。
以上が真相だ。
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この作品が気に入った人には、「私が彼を殺した」をおすすめしたい。この作品よりも難易度は高いと思う。
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